専門学校の面接対策!よく聞かれる質問、面接の流れとマナー、注意点を解説

専門学校の入試では、「面接」が課されることが多い。

面接ではどんなことを聞かれるの?

どんなことに気をつければいいの?

どんな準備が必要なの…?

そんな専門学校を目指す高校生の疑問にお答えしよう。

教えてくれたのは
神﨑史彦先生
教えてくれたのは神﨑史彦先生
株式会社カンザキメソッド代表取締役。
スタディサプリ講師。私立学校研究家。高大接続・教育コンサルタント。
大学卒業後、大学受験予備校において小論文講師として活動する一方、通信教育会社や教科書会社にて小論文・志望理由書・自己アピール文の模擬試験作成および評価基準策定を担当。
のべ6万人以上の受験生と向き合うなかで得た経験や知見をもとに、小論文・志望理由・自己アピール・面接の指導法「カンザキメソッド」を開発する。
現在までに刊行した参考書は26冊(改訂版含む)、販売部数はのべ25万冊、指導した学生は10万人以上にのぼる。

専門学校の面接でよく聞かれる質問

志望動機では、なぜその学校を選んだのか自分の言葉で伝えよう

専門学校の面接でよく聞かれる質問は、志望動機、入学後の展望、高校生活で学んだこと、専門分野に関することなどがある。

それぞれ詳しく説明するので、「自分ならどう答えるか」も考えながら、チェックしてみてほしい。

志望動機

専門学校の面接で必ずと言っていいほど聞かれるのが、志望動機

なぜこの技術を身につけたい(この分野を学びたい・この職業に就きたい)と思ったのか?」と、「なぜこの学校を選んだのか?」の2段階で尋ねられることが多い。

いずれも「なぜ」という理由をしっかりと答えられるようにしておくことが重要だ。

質問例と答え方のポイント

質問例としては、なぜその職業に興味を持ったのか、なぜその技術を学びたいのかなど、職業に関することや、この学校のどこに惹かれたのかなど、学校選択に関することがある。

答え方のポイントは、自分の言葉でしっかりと思いを伝えるということ。

誰もが考えそうな模範解答は面接官の印象にも残りにくいので注意しよう。
【質問例】

・「あなたはなにがきっかけで看護の仕事に興味をもったのですか?」

・「あなたはなぜ、プログラミングを学ぼうと思ったのですか?」

・「あなたはこの学校のどこに魅力を感じて志願したのですか?」

・「あなたはなぜ、数ある専門学校の中からこの学校を選んだのですか?」
【答え方のポイント】

「なぜこの技術を身につけたい(この分野を学びたい・この職業に就きたい)」については、ただ興味・関心がある理由やきっかけとなったエピソードを答えるだけではもの足りない。

「自分がその技術を身につけた(その分野を学んだ・その職業に就いた)先に、どのような幸せを作り出したいのか、どのように社会に役立ちたいのか」という未来像まで答えられるようにしておこう。

また、「なぜこの学校がいいのか」については、「〜に魅力を感じたから」にとどまらず、「〜という点が、自分が求めるものと合致しているから」と、自分と学校とがマッチしていることを根拠にすると説得力が増す。

志望動機のキモは、「この子、本気でやりたいんだな」「よく調べ、よく考えているな」と面接官に印象づけること。

誰もが考えそうな模範解答ではなく、自分の言葉でしっかりと思いを伝えよう。

入学後の展望

「あなたはこの学校でどんなことをしたいですか?」という入学後の展望も、よく聞かれる質問の一つだ。

これに答えるためには、その学校のことを事前にしっかりとリサーチしておく必要がある。

ホームページや学校案内で調べるだけでなく、模擬授業などが体験できるオープンキャンパスにはできるだけ参加しよう。

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質問例と答え方のポイント

質問例としては、どんな学校生活を送りたいか、特に興味を持って取り組んでいきたいことは何かなど。

面接官は、入学することが目的になってはいないか、入学後に何をしたいかが明確であるのかをチェックしている。

答え方のポイントは、いかに自分の熱意を伝えられるか、ということ。

入学後に挑戦したいと思っていることなど、前向きな気持ちでいることを伝えられると印象がよいだろう。
【質問例】

・「あなたはこの学校でどんなことを学びたいですか?」

・「あなたが看護の実習を通して学びたいことは何ですか?」

・「特に興味をもって取り組みたいと思っているテーマはありますか?」

・「あなたはどのような授業を楽しみにしていますか?」

・「勉強以外に、学生生活で挑戦したいことはありますか?」
【答え方のポイント】

楽しみにしている実習など具体的な授業の名称を挙げてもいいし、それがなければ「特に〜(分野)に力を入れたいと思っています」といった答え方でもいい。

一方、「入ってからやりたいことを見つけます」などの回答は、大学の場合はともかくも、特定のスキルを身につけるために行く専門学校の場合は良い印象につながらない。

自分がいかに進学に熱意や意欲をもっているか、学校生活を有意義なものにしたいと考えているか、前向きな気持ちを伝えることを意識しよう。

高校生活で学んだこと

高校生活で学んだこと

高校生活を振り返って考えてみよう

高校生活で学んだことや、高校生活で力を入れたことも、面接ではよく聞かれる。

高校での学びや活動を書き溜めた「ポートフォリオ」などがあれば、それを活用して振り返りをしておこう。

質問例と答え方のポイント

質問例は、高校生活でもっとも力を入れたこと、それを通して学んだことは何か、などが多い。

また時には、失敗したことやうまくいかなかったことなどについて聞かれることも。

答え方のポイントは、何かをしたという事実だけで終わらないこと。

成功体験にせよ失敗体験にせよ、そこから何か学び、今後に活かしていきたいのかまで伝えられることが重要だ。
【質問例】

・「あなたが高校生活でもっとも力を入れたことを教えてください」

・「高校3年間で一番印象に残っていることは何ですか?理由も含めて教えてください」

・「高校生活を通して学んだこと、自身の成長を実感できたことは何ですか?」

・「これまでに失敗したこと、また、それをどう乗り越えたのかを教えてください」
【答え方のポイント】

部活動や委員会活動、ボランティア、資格取得など、「何をやったか」(=過去の事実)を伝えることに終始しないこと。

いくらいろんなことに取り組んで充実した高校生活を送っていても、それだけでは中身の濃さが伝わらない。

「その経験を通して自分は何を感じ、何を学んだか」(=自分の見解)、さらに、「今後はその経験をどう活かしていきたいか」(=未来の目標)まで踏み込んで答えよう。

学校が望んでいるのは、自分の未来を切り拓いていこうという前向きな学生なのだ。

専門分野に関すること

これから学ぼうとしている専門分野について尋ねられることもある。

この質問の目的は、「その分野についてどれくらい知っているか」と知識や経験を確認することではない。

受験生が「その分野にどれくらい興味、関心をもっているか」を確認するための質問であることを意識しよう。

質問例と答え方のポイント

例えば、看護系であればその分野の中で興味があるテーマはなにかというような質問がよく聞かれる。

また、今後その分野でどのような問題が起こる可能性があると思うか、なども聞かれることがあるので、よく考え準備しておこう。

答える際には、実際の自分の行動について触れるとより説得力が増す。
【質問例】

・「看護について、今、あなたがもっとも関心のあるテーマは何ですか?」

・「あなたが最近読んだ本の内容と、読んだ感想を教えてください」

・「少子高齢化により、美容の分野では今後どのような問題が起こると考えますか?」

・「この学校で学びたい内容について、すでに起こしているアクションがあれば教えてください」
【答え方のポイント】

専門分野のなかで特に興味をもっているテーマについて、なぜ興味があるのか、どういう部分に興味があるのか、どういうきっかけで興味をもったか…などを答えられるように準備しておこう。

例えば、「『〜』という本を読んだことをきっかけに…に興味をもった」「〜に関心があるので、動画配信サイトなどで関連動画を見ている」「〜に関心があり、地域活動に参加している」など、具体的な名称や実際の自分の行動について触れると説得力が増す。
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「逆質問」にはどう答える?

「逆質問」にはどう答える?

「あなたから質問はありますか?」と聞かれることも

逆質問とは、面接官からの質問がひととおり終わったあとに、「あなたから聞きたいことはありますか?」と尋ねられることを指す。

逆質問に対して「特にありません」と答えたらいけないというわけではないが、それでは消極的な印象になってしまいかねない。

ここは、自分の積極性をアピールするチャンス。あらかじめ質問を準備して面接に臨もう。

質問例と答え方のポイント

逆質問の質問例は、学校生活についてあなたから聞きたいことはあるか、何か心配していることはないか、などというものだ。

答え方のポイントは、○○とは(自分が調べたりしたこと)何ですか?詳しく教えてくださいなど、具体的な質問をすることだ。

より深く理解したいと思っているという意欲的な姿勢をアピールしよう。
【質問例】

・「入学後の学びや生活について、あなたから聞いておきたいことはありますか?」

・「現時点で不安を感じていること、確認しておきたいことはありますか?」
【答え方のポイント】

「〜という取り組みがあると聞きましたが、詳しく教えていただけますか?」「〜という授業ではどんなことをするのですか?」など具体的な質問をすると、「この学校のことをよく調べているな」という好印象を与えることができる。

就職率や資格試験の合格率などの実績に関する質問はやや俗っぽい印象を与えかねないので、学びの内容についての質問がベストだ。

先輩たちが実際に聞かれた質問例(専門学校生、卒業生アンケートより)

【分野別】よくある質問例

ここからは先輩たちが聞かれた質問を挙げていくので、もし実際に聞かれたらどう答えるか、考えながら読んでみよう。

◆医療・看護系

・リンパ浮腫の授業があることについてどう思うか(理学療法系・福岡県)

・放射線装置について知っているものがあるか(診療放射線系・北海道)

・歯科衛生士の3大業務(歯科衛生系・静岡県)

・どんな健康管理をしているか(看護系・香川県)

・在宅医療についての意見(看護系・埼玉県)

・尊厳死と安楽死について、あなたはどう考えるか(看護系・山口県)

・看護師になるにあたって大切なこと(看護系・大阪府)

・病院敷地内で禁煙化が進んでいることについてどう思うか(看護系・長野県)

◆工業・農業系

・中学生のころ、どのような実験が好きだったか(生物応用科学系・三重県)

・どんな建築物が好きか(土木建築系・山口県)

・食品ロスについてどう思うか(栄養系・兵庫県)

◆衛生系

・どの国の料理を学びたいか(料理系・静岡県)

・これからの製菓業界の必要性はどこにあると考えるか(製菓系・岩手県)

◆教育・社会福祉系

・現在の日本の環境問題についてどう思うか(野外教育系・新潟県)

◆商業実務系

・経理の資格取得のための授業のうち何をとりたいか(経理ビジネス系・愛知県)

・減価償却とは何か(ビジネス系・千葉県)

◆文化・教養系

・最近いいなと思ったデザイン(グラフィックデザイン系・神奈川県)

・好きなゲームやアニメ、漫画作品または作家はいるか(デザイン系・新潟県)

・多国籍の生徒がいるなかでどのように彼らとかかわっていくか(語学系・福岡県)

ほかにもあった、こんな質問!(専門学校生、卒業生アンケートより)

ほかにも、予想外の質問があったというケースも少なからずあるようだ。

ただ内容を確認するだけなく、自分だったら答えられるか、どう答えるかなども考えながら読んでみてほしい。

◆自分自身に関すること

・趣味や特技

・自分の性格について(長所、短所は何か、自分はどんな人間だと思うか、など)

・尊敬している人

・食べることを忘れるくらい集中することは何か

・自分はリーダータイプ、サブリーダータイプ、縁の下の力持ちタイプのうちどれか

・好きな四字熟語

・大切にしていること

・ストレス発散法

◆学校に関すること

・校訓についてどう思うか

・何がきっかけでこの学校を知ったのか

・オープンキャンパスに参加して感じたこと

・他校と比較してこの学校に決めた理由

◆その他

・最近、腹立たしいと感じたニュース、気になるニュース

・リーダーになった際に気をつけること

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専門学校の面接の形式

専門学校の面接で最もよくある形式は、受験生一人に対して面接官数人という「個人面接」だ。

しかし、それ以外にも「集団面接」「討論(ディスカッション)面接」などを行う学校もある。

それぞれどのようなものか、詳しく説明しよう。

個人面接

もっともスタンダードなのが、受験生が一人で受ける「個人面接」。

面接官は2~4名ほどのことが多い。

面接は受験生と学校とのマッチングの場であり、威圧的な態度をとる面接官は少なく、和やかな雰囲気のなか行われるのが一般的。

集団面接

複数の受験生が一緒に受けるのが、「集団面接」。

集団面接の場合も、面接官は複数人いることが多い。

面接官からの質問に一人ずつ答える「一問一答形式」が主流。

討論(ディスカッション)面接

複数の受験生が同室に集められ、与えられたテーマについて意見を交わし合うのが「討論(ディスカッション)面接」。

試験官は複数人いることが多く、受験生一人ひとりの姿勢や発言内容を評価する。

適切な発言か、周囲への配慮があるかなども見られており、発言回数が多ければ高評価、場を率先して仕切る人が高評価とは限らない。

面接の流れと必須マナー

面接の流れと必須マナー

専門学校の面接の流れをおさえ、それぞれの場面で必要なマナーを学ぼう

専門学校の面接の流れは、入室→着席→面接開始→退出というのが一般的だ。

しかし、学校によっては、控室での様子もチェックされていることもある。

面接の前後も気を抜かないようにしよう。

必須マナーとしては、やる気を疑われる行動、失礼に当たる行動、社会的な常識に反した行動などは当然NG。

自分では気づかずにしてしまっていることもあるので、以下をよく読んで確認しておこう。

控え室

面接前の控え室での様子もチェックされていることがあるので、試験会場に足を踏み入れた瞬間から面接が始まっているという意識をもとう。

ずっとスマホを触っている、むやみに歩きまわる、脚を組んで座る、などはマナー違反とされることもあるので、自分の順番が来るのを静かに待とう。

なお、スマホの振動音は意外と響くので、マナーモードではなく電源を切っておいた方がいい。

入室

名前を呼ばれたら面接室へ。

ドアを3回ノックし、「どうぞお入りください」と言われたらドアを開け、笑顔で面接官に視線を向けて、元気よく「失礼します」と言って入室する。

ドアを閉める際は面接官に完全にお尻を向けた状態にならないよう、身体の向きを注意してほしい。

続いて45度の角度でていねいにお辞儀をし、身体を起こしてから受験番号・学校名・名前を名乗り、「本日はよろしくお願いします」とあいさつする。

第一印象が大切なので、はっきりと大きめの発声を意識しよう。

着席

入室したら椅子のところまで進み、「どうぞお座りください」と言われたら、「ありがとうございます」「失礼します」などひとこと添えて着席する。

座る姿勢は、背筋を伸ばし、椅子に浅めに腰かけるのが基本。

男子は両脚を肩幅程度に開き、女子は両膝をくっつけると印象よく見える。

手は軽く握り、太ももの上に置いておこう。

緊張すると指先を動かすクセがある人は気をつけよう。

面接中

面接中はさわやかな明るい表情を心がけよう。

視線は面接官の顔に向けるが、直接目を見るのではなく眉間のあたりを見るようにすると、自然に会話ができる。

面接官が複数いる場合は均等に視線を配ることを意識し、キョロキョロしたり下を向いたりしないように心がけよう。

対話の流れに沿って自然な範囲で手を動かすのは問題ないが、話すときに髪を触るなどのクセがある人は、面接中は抑えるよう気をつけよう。

退出

面接終了を告げられたら、「本日はありがとうございました」と言って座ったまま一礼。

立って出口へ向かい、ドアの前で再度目線を合わせて一礼し、「失礼します」と元気にあいさつして退出しよう。

最後まで気を抜かず、ドアはゆっくり静かに開閉すること。

控え室での態度も見られている可能性があるので、「終わったー!」などと大声を出したり、だらしない態度をとったりしないよう注意しよう。

専門学校の面接の注意点・気をつけるポイント

お辞儀の姿勢から身体を起こす際などは、緊張のあまりに視線が流れてしまいがちだ。

そうなると、面接官にそっけない印象を与えてしまう。

お辞儀をする、ドアを開閉する、席に着く、などの動作はキビキビと行い、その都度相手をしっかりと見ることを意識しよう。

また、指先を動かす、髪を触る、足を揺するなどのクセは、緊張すると顕著に出やすくなるので、できるだけ抑えるよう意識したい。

おすすめなのが、自分の面接の練習風景を動画に撮ること。

視線の動きや姿勢、話す速さや口調、動作のクセなどを確認するのに大いに役立つので、ぜひやってみよう。

面接はマッチングの場。自分の言葉で思いを伝えよう

目標とする未来像を自分の言葉で伝えよう

準備をしっかりとして自信をもって伝えよう

面接で何よりも大事なのは、想定される質問に対してあらかじめ深く考え、答えを用意しておくことだ。

相手は面接のプロ。付け焼き刃的な答えは、すぐに見破られてしまう。

専門学校で身につけた知識や技術を、自分の人生においてどう活かしていきたいのか、その知識や技術をもって社会や人のために何がしたい、できるのか…

ぜひ、そういう大きな視点をもって面接の準備にあたり、本番にも臨んでほしい。

そして、面接は学校と受験生の「マッチング」の場であり、自分のことを知ってもらうだけでなく相手のことを知るための場でもあるという意識も忘れずに。

臆することなく、自分の言葉で自分の思いを伝えにいこう。


取材・文/笹原風花 監修/神﨑史彦 構成/寺崎彩乃(本誌) ※2023年7月一部追記
※記事内の専門学校生・卒業生のコメントは、2021年5月に実施したアンケートによる
 

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