仮眠は何分がベスト?勉強の効率が上がる!理想的な仮眠の取り方

頭がすっきりとして勉強の効率が上がる、理想的な仮眠時間は5分だ。

仮眠の効果として、眠気がとれる、疲労感がとれる、頭がすっきりするといったメリットが実験によって明らかになっている。

30秒~1分くらいウトッとするだけでも頭がすっきりとしてリフレッシュできるので、上手に仮眠をとって勉強の効率を高めよう。

 

【今回教えてくれたのは…】

遠藤拓郎先生
スリープクリニック調布 院長
スタンフォード大学 医学部 客員教授

著書『合格を勝ち取る睡眠法』(PHP新書)、『睡眠はコントロールできる』(メディアファクトリー新書)など多数。

監修を手がけた睡眠のための音楽CD『DREAMS~快眠CD』は、日本ゴールドディスク大賞 インストゥルメンタル アルバム・オブ・ザ・イヤー受賞。

仮眠の時間はどれくらいがベスト?

※まずは理想的な仮眠時間を知ろう

どうしても眠気を覚ましたいときにおすすめの仮眠時間は、5分がベスト。

仮眠の準備→仮眠→起きるまでで合計15分と考えよう。

実際の研究において、30秒~1分くらいウトッとするだけでも頭がすっきりすることがわかっている。

睡眠のサイクルはほぼ1時間半のため、30分を超える仮眠をとると深い睡眠状態になり、起きようと思っても起きられなかったり、無理に起きても頭がさえない状態がしばらく続いたりするので逆効果になる。

勉強の効率を上げる仮眠は何分がベスト?

勉強の効率を上げる仮眠時間も、やはり5分がベスト。

30秒~1分くらいの仮眠でも効果があるが、一番頭がすっきりとする仮眠時間は5分だ。

仮眠をすることで、勉強の効率が上がる研究結果があるほか、記憶力との関係も確認されている。

遠藤先生に話を聞いた。
「休み時間に5分や30秒の仮眠をとることで、頭・体・眠気・疲れがリセットされます。

疲労したあとは仮眠がとりやすいので、お昼ごはんのあとの昼休みを使って仮眠をとってみてください。

勉強する→疲れたら仮眠→勉強する→疲れたら仮眠というサイクルを繰り返す方法がおすすめです」。

そもそもどうして眠くなるの?

授業中や勉強中、なぜ眠くなってしまうんだろう。

遠藤先生の研究によると、授業中や勉強中に眠くなるのは不規則な睡眠リズムによる睡眠不足に問題があるそう。
「不規則な睡眠リズムの原因の一つが、土日の寝だめです。

寝だめをする場合、土日はお昼まで寝て夜は遅くまで起きている『遅寝遅起き』になる人が多い傾向があります。

日曜日は遅く起きた分、夜なかなか眠くならずに寝る時間も遅くなりますが、月曜日は早起きしなければならないので『遅寝早起き』となり、睡眠不足の状態で平日がスタートしてしまうのです。

このように平日と土日とで睡眠時間と時刻が変わることによって、睡眠不足を感じるようになります」。
心当たりがある人もいるのでは…?
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すぐに解消!眠気を覚ます方法【6選】専門家に聞きました

仮眠が脳に与える影響は?

仮眠が脳に与える影響としては、眠気がとれる、疲労感がとれる、頭がすっきりすることが実験によって明らかになっている。

仮眠によって頭がすっきりするだけでなく、体の疲れもリセットされる。

覚醒を維持する脳波(アルファ波)の量も寝ることで大きく変わるため、仮眠によって記憶力のアップも期待できる

遠藤先生が詳しく説明してくれた。
「リラックスした状態で起きているのと、一回ウトッとするのと、どちらがその後の眠気や疲労感がとれるかを調べた実験があります。

その結果によると、一回ウトッとしてしまうほうが、眠気や疲労感がとれて頭がすっきりすることがわかっています。

どんなにリラックスしていても、起きている状態では疲労感はあまりとれません。

ボーッとしているくらいなら、『仮眠も勉強のうち』と思って1~5分くらい寝るといいですよ」。

【アンケート】高校生も実感!仮眠のメリット

高校生にも仮眠をとることで感じるメリットを聞いてみた。
・「頭がすっきりする」(16歳 神奈川県)

・「記憶力アップ」(17歳 島根県)

・「眠いまま続けるよりも集中できる」(17歳 愛知県)

・「我慢するよりも効率がいい」(18歳 奈良県)

・「リセットできる」(15歳 青森県)
頭への影響や勉強中に感じるメリットのほか、メンタルの面でも効果を感じるという意見も見られた。
・「気持ちが楽になる」(18歳 大阪府)

・「気分転換になる」(16歳 静岡県)

・「やる気がでる」(15歳 愛知県)
上手に仮眠をとることが、前向きに勉強に取り組めるコツにもつながっている!

勉強中の仮眠のとり方

おすすめの仮眠のとり方は、椅子に座った状態で頭の後ろを壁で支えて寝る方法。

寝ている間に首がカックンとなると目が覚めてしまうので、壁沿いに移動して頭を壁につけてカックンとならないようにしよう。

そのほか、机の上にタオルを敷いてうつ伏せになって寝る方法もある。

詳しく紹介しよう。

椅子に座った姿勢で頭の後ろを壁で支えて寝る

勉強中に仮眠を取る場合、壁沿いに移動し、椅子に座った状態で壁に頭をつける体勢をとる。

椅子の背もたれに寄りかかり、仮眠中、首がカックンとならないように壁で頭の後ろを支えるようにするのがポイントだ。

※実際に試してみよう

タオルを机の上に敷いてうつ伏せになって寝る

椅子に寄りかかって、壁で頭の後ろを支えて寝る方法のほか、遠藤先生が机の上にうつ伏せになって寝る方法も教えてくれた。
「机の上にタオルを敷いて、その上にうつ伏せになって仮眠をとる方法もあります。

人間は、心臓の動きが落ち着いていて、リラックス状態になると眠気が出てきます。

心臓の負担を減らすために頭の高さを心臓の高さに近づけるようにすることで、寝やすくなるのです。

心臓の負担を減らすという面では、心臓の高さと体のすべての部分の高さを同じにする、つまり横になるのがベストではあります。

しかし、起きられない可能性や学校など横になれない状況もあるので、椅子に座った状態で仮眠が取りやすい体勢を試してみてください」。

帰宅後、すぐに仮眠をしてもOK

「学校から帰ってきた直後なら、仮眠をしても夜寝られるはずなので、塾に行く前に仮眠をしてもいいですね。

学校の授業で疲れたところで、一度仮眠をとって頭と体をリセットすれば、塾でもうひと頑張りできるでしょう」。

短時間で仮眠をとるコツ

※仮眠を短時間でとって集中力UP!

短時間で仮眠をとるためには、リラックスして仮眠をとりやすくなるように好きな音楽を聞くほか、目覚めをよくするために仮眠の前にカフェインを飲むのがコツだ。

温かいコーヒーは体も温めてくれるので、寝やすくなる効果もある。

また、食後は代謝や体温が上がって眠気を感じやすくなるので、お昼ごはんのあとの昼休みなどを利用して仮眠するのもいい。

それぞれ先生の解説を聞いてみよう。

さらに、高校生に仮眠するときに使っている便利なグッズを教えてもらったので、参考にしてほしい。

好きな音楽を聞きながら仮眠をする

「好きな音楽を聞くことで、リラックスできて仮眠を取りやすくなるでしょう。

また、音量が大きいほうが周りの音を遮断できて、寝やすいこともあります。

ただ、音が大きすぎたり、ノイズキャンセリングイヤホンを使ったりして外の音が聞こえない状態は要注意。

例えば電車の中で仮眠をとる際、アナウンスが聞こえず電車を乗り過ごすリスクもあるので、音漏れしない自分にベストな音量やノイズキャンセリングオフの状態で音楽を聞きながら仮眠をとりましょう」。

仮眠の前にカフェインを飲む

仮眠の前にカフェインを飲むのも、短時間で仮眠をとるコツの一つです。

仮眠の前に温かいコーヒーを1杯飲むと、体が温まって寝やすくなります。

カフェインの効果が出るまでに時間がかかるので、仮眠後、カフェインが効いてきて目が覚めやすくなるはずです」。

お昼ごはんを食べたあとの昼休みに仮眠をする

「食後は代謝が上がるとともに体温も上がるので、眠気を感じやすくなります。

その体温上昇を上手に利用して、食後の昼休みに仮眠をとるのがおすすめです」。

どうしても起きられないときは?

「タイマーなどをかけておいても起きられないなら、人に起こしてもらいましょう

仮眠をとる前に、『〇分になっても寝ていたら起こして』と、家族や友人など周りの人にお願いしておきましょう」。

【アンケート】高校生おすすめ!仮眠に便利なグッズ

アンケートで高校生が実際に仮眠の時に使っている便利なグッズを教えてもらったよ。

短い時間でも心地よく寝るためのグッズがそれぞれあるみたい。
・「ビーズクッション」(15歳 広島県)

・「柔らかいクッションとブランケット」(15歳 奈良県)

・「座布団枕がいい感じ」(16歳 愛知県)

・「低反発枕」(17歳 福島県)

・「タオル。タオルがあると家の洗剤の匂いで落ち着くし、タオルの上になら顎や頬を置いても痛くないから」(17歳 滋賀県)
周りからの刺激を遮断するためのアイテムも。
・「アイマスク。これがあるとしっかり目と脳を休めることができる」(16歳 神奈川県)

・「イヤホン。周りの音が遮断されて何も考えずに寝ることができる」(18歳 大阪府)
動画や音楽を流しながら寝る人もいた。
・「動画共有サイトの仮眠用の動画」(16歳 神奈川県)

・「動画共有サイトの寝れる音楽を聞く」(18歳 兵庫県)

・「ヒーリング系ミュージックを聞く」(17歳 東京都)

・「ASMRを聞きながら眠る」(16歳 兵庫県)
そのほか、多かったのがタイマーやアラームという意見。
・「タイマー。時間を確認せずに安心して寝れるから」(15歳 鹿児島県)

・「アラーム。耳元に置くと絶対に起きられる」(16歳 群馬県)
みんなも試して、自分に合うグッズをみつけてみては?

仮眠の注意点・避けたほうがいいこと

※仮眠をするときに気をつけるポイントや注意事項を見ていこう

仮眠の注意点は、寝ている間に首がカックンとなって目覚めない体勢をとること。

椅子に座った状態で背もたれに寄りかかって頭を壁につけたり、机にタオルを敷いてうつ伏せに寝たりと、頭を支えて寝る体勢で仮眠をするのがポイント。

また、夜仮眠をとると寝られなくなるので夜は仮眠をしない、深い眠りに入って起きられなくなるので30分以上の仮眠もNGだ。

遠藤先生の詳しい解説を聞いていこう。

アンケートでは、仮眠の失敗談を高校生に教えてもらった。

仮眠中、首がカックンとならないように注意

「椅子に座って仮眠をとる場合、仮眠中に首がカックンとなることで目が覚めてしまいます。

寝ているときに4kgほどの頭を首で支えるのは大変なことです。

そのため、椅子に座り、背もたれに寄りかかった状態で頭を壁につけて、壁で頭の後ろを支えたり、机にタオルを敷いてうつ伏せになったりと、頭を支えながら寝る姿勢で仮眠をとりましょう」。
上の『勉強中の仮眠のとり方』で紹介した体勢を参考にしてみよう。

夜は仮眠しない

夜に仮眠をとることは避けましょう

夜5分以上の仮眠をとると、勉強を終えて寝ようと布団に入っても寝られなくなってしまいます。

夜眠くて勉強に集中できないのであれば寝てしまって、朝早起きをして勉強をするほうがおすすめです」。

30分以上仮眠をすると起きられない

「睡眠のサイクルはほぼ1時間半ですが、30分を超えると深い睡眠状態になり、起きようと思っても起きられなくなります

30分以上寝てしまうと無理に起きても頭がさえない状態がしばらく続くので、仮眠時間はベストである5分にとどめましょう

ただ、仮眠をとってもどうしても眠気がとれないという場合、まとまった空き時間に1時間半睡眠をとる方法もあります。

1時間半、つまり、睡眠の1サイクルを利用すると、快適な睡眠ができてすっきりするはずです」。

【アンケート】高校生の仮眠失敗談

仮眠に関しての失敗談を高校生に聞いたところ、いろいろな失敗談を教えてくれたよ。

予定より長く寝てしまった、起きたら朝だったという声が多く、共感できる人も多いのでは!?
・「仮眠をとって勉強をしようとしたらそのまま起きたくなくなり、朝になってしまった」(17歳 愛知県)

・「10分寝るつもりが、朝まで爆睡」(16歳 神奈川県)

・「仮眠したつもりが夜まで寝ていて深夜に起きてしまったことがある」(16歳 広島県)

・「1時間くらい寝てしまって、勉強する気が起こらなかった」(15歳 京都府)
仮眠に失敗して体に影響が出てしまったという意見もあった。
・「長く寝てしまってだるくなった」(17歳 東京都)

・「たくさん寝すぎて頭が痛くなった」(15歳 栃木県)

・「ベッドだと本気で寝てしまうので机で寝ようと思ったら、姿勢が難しかった。寝られても体のあちこちが痛くなった」(18歳 京都府)
仮眠しようとしたのに、寝られなかったというケースも。
・「ベッドでスマホをいじり、結局仮眠をとらなかった」(18歳 新潟県)

・「勉強しなきゃという焦りでなかなか寝付けないことがあった」(15歳 奈良県)

・「寝よう寝ようと思いすぎて寝れなくてイライラして勉強がはかどらなかった」(16歳 北海道)
また、仮眠を取り過ぎた結果、
・「夜寝られなくなった」(18歳 大阪府)

という意見もあった。

仮眠で失敗しないように、遠藤先生が教えてくれた仮眠のコツを参考にしよう。

高校生に必要な睡眠時間は?睡眠不足を防止しよう

※そもそも睡眠不足を解消するためには?

仮眠は、眠さを一時的に解消する手段。

必要な睡眠時間をしっかりとって、1日をすっきりと過ごせる生活リズムを整えることが大切だ。

遠藤先生によると、高校生にとって理想の睡眠時間は7時間

総務省が2011年に行った「社会生活基本調査」をもとに平日の平均起床時刻と平均就寝時刻から平均睡眠時間を計算すると、15~19歳の平均睡眠時間は6時間54分。

理想の睡眠時間をほとんど満たしているように思えるが、先生によると、
「平日の平均が理想の睡眠時間であったとしても、実際は土日になると寝だめをして起きる時間が遅くなる人が多く、平日と土日とで睡眠リズムが崩れることによって、睡眠不足を感じるようになります。

大切なのは、起きる時間を一定に保つことです。

土日に寝だめをするなら、遅く起きるのではなく、寝る時間を早めましょう」。
睡眠不足にならないように、毎日、早寝早起きの生活リズムを整えることがポイントなんだ。

「睡眠」について理解を深めよう

仮眠を上手に取り入れて勉強することで、効率的に集中力や記憶力を高められることがわかった。

遠藤先生が教えてくれた適切な仮眠時間、勉強中の仮眠の取り方、短時間で仮眠をとるコツなどを参考にしてみよう。

また、この記事を読んで、睡眠について興味がわいた人は、この機会に詳しく知ってみてほしい。

知っていそうで知らないことも多い睡眠。

睡眠は私たちの体や頭、心にも大きく関係している。

睡眠を見直すことによって、高校生活もガラッと変わるかも! \関連する学問をCHECK/

睡眠について深く知るには「睡眠学」を体系的に学ぶ必要がある。

「睡眠学」は主に3つの領域の学問から構成されている。

まずは治療に直結する「睡眠医学」、さらに社会経済問題からみた「睡眠社会学」、また睡眠の役割やメカニズムを研究する「睡眠科学」だ。

※出典:日本睡眠学会

興味のある人はそれぞれどんな学問なのか見てみよう!

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取材・文/ミューズ・コミュニティー 監修/遠藤拓郎 構成/寺崎彩乃(本誌)
※2023年10月取材時の情報になります。
※本記事内のコメントは2023年10月高校生200名への調査によるものです。
※本記事内の「寝る」という表記は、学術的には「眠る」が正しいですが、高校生に伝わりやすくするため「寝る」という表記を使用しています。