心臓が機能を停止してしまっていても使える人工心臓を
完全な人工心臓の実現を目指す
私の研究を簡単にいえば、完全な人工心臓の実現のための研究ということになります。具体的には、機能の著しく落ちてしまった心臓を取り出して、その代わりを人工心臓で担うことを目標に、心臓や血液循環のメカニズム、人工臓器の小型化、安全で長く使える機器の開発など、あらゆる観点から、総合的に研究を行っているというわけです。
病気などによって心臓の働きが落ちてきてしまうと、最初は薬や外科手術による治療が行われます。しかし、それがあまりに重篤で働きが戻らないような場合、心臓移植をしなければならなくなります。ところが、心臓移植にはドナーが必要です。これが難題で、適合する臓器にいつ出会えるかもわかりません。そこで注目されるのが人工心臓というわけです。
「完全なる人工心臓の開発で未来に貢献したい」と語る阿部裕輔准教授
未来の人々の健康と幸せに貢献する
実は、ある種の人工心臓はすでに実用化されています。それは、補助人工心臓と呼ばれるものです。元の心臓はそのままに、ポンプの役割だけ人工心臓が肩代わりするというしくみになっており、ある程度心臓の機能が残っていれば使うことができます。
一方で、いまだに実用化に至っていないのが、完全置換型人工心臓といわれるものです。読んで字のごとく、元の心臓を取り出して、そのすべての機能を人工心臓が担うというしくみです。心臓移植までのブリッジとして、短い期間で使われることはありますが、補助人工心臓のように、これをつけて生活するというところまでは至っていないのです。
人工心臓の研究そのものは、世界中で、何十年も行われています。それでも完全置換型人工心臓の実現にいたっていないのには、長期間安定して作動するための計測、制御機構やエネルギーシステムをどうするか、生体適合性はどうか、安全性や信頼性をどう評価するかなど、さまざまな課題があるからです。しかし、工学技術の発展によって、こうした問題のうちいくつかには、解決の兆しが見えてきたものもあります。
完全置換型人工心臓の実用化が実現すれば、長い間ドナーを待ち続ける必要はなくなります。移植後の拒絶反応に怯えることなく、健康な生活を取り戻せる日がくるかもしれません。一朝一夕に成果のでるものではありませんが、そんな未来に少しでも貢献できればと、日々研究に取り組んでいます。
全国のオススメの学校
-
大阪電気通信大学(医療工学専攻(仮称))2024年4月に建築・デザイン学部を開設。原点でもある情報教育を全学部で進化させ、AI・IoT時代の新たな実学をめざし、社会で役立つ技術者を育成します。私立大学 / 大阪
-
埼玉医科大学(臨床工学科)生命への深い愛情と理解と奉仕に生きる、自らが考え、求め、努め、以て自らの成長を主体的に開展し得る、優れた実地臨床医や保健医療技術者を目指します。私立大学 / 埼玉
-
医療専門学校水戸メディカルカレッジ(理学療法学科)北水会グループのリハビリテーション系医療専門学校として、理学療法・言語聴覚療法・看護の3学科を開設。困難な局面にも対応でき、問題解決能力を備え、医療や福祉の分野で活躍できるスペシャリストを育てます。専門学校 / 茨城
-
岡山理科大学(工学部)生命科学部医療技術学科(仮称)、生物地球学部恐竜学科(仮称)を2025年4月開設予定(構想計画中)。個性的な研究と教育で学生一人ひとりの可能性を広げます。私立大学 / 岡山・愛媛
-
信州大学(繊維学部)国公立大学 / 長野
-
帝京大学(データサイエンス学科(仮称))帝京大学では宇都宮キャンパスの理工学部4学科を「総合理工学科(仮称)」の4コースへ改組し、新たに板橋キャンパスに理工学部「データサイエンス学科(仮称)」を設置する予定です。※2025年4月開設予定・設置計画中私立大学 / 東京・栃木・福岡
-
日本文理大学(保健医療学科)工学部・経営経済学部・保健医療学部(2023年4月開設)において、専門知識や技術を修得すると共に、「実践型教育」により学生の主体性、協働力、多面的思考力などの「人間力」を育成し、高い就職率を達成しています。私立大学 / 大分
-
高知工科大学(情報学群)国公立大学 / 高知
-
東京電機大学(先端機械工学科)建学の精神「実学尊重」のもと、学問としての技術を学ぶだけでなく、実際の社会でそれを活用できる技術者を育成。実験・実習や1年次からのものづくり体験授業「ワークショップ」を通して、創意工夫の力を育てます。私立大学 / 東京・埼玉
-
電気通信大学(情報理工学域)国公立大学 / 東京
医用工学とはどんな学問?
医用工学とはどんな学問?
医用工学と他の学問とのかかわり
医用工学では何をどのように学ぶか
医用工学はこんな人に向いている
医用工学を学んだ後の進路と今後の展望
医用工学の先生に聞く
医用工学ではこんな研究をしています
医用工学のここが面白い
もっと先生たちに聞いてみよう
赤い光を用いた患者さんにやさしいがん治療を研究する先生
桐蔭横浜大学 医用工学部
徳岡 由一教授
医学と工学の知識・技術をバランス良く診断に生かす先生
日本医療科学大学 保健医療学部診療放射線学科
今花 仁人助教
知識と技術を磨き乳がんの早期発見・治療に貢献する先生
日本医療科学大学 保健医療学部診療放射線学科
大谷 真由美助教
医用工学の学生に聞く
もっと在校生たちに聞いてみよう
幅広い知識を持ち、周りから頼られる臨床工学技士になりたい!
日本メディカル福祉専門学校 臨床工学科
福田 優さん
科学的な思考で運動と体を見る。自身の体作りにも活かしています。
国士舘大学 理工学部 理工学科 健康医工学系(現 人間情報学系)
竹下 将輝さん
患者さまからも医師からも信頼される臨床工学技士になりたいです。
鈴鹿医療科学大学 医用工学部 臨床工学科
市川 樹さん
もっと卒業生たちに聞いてみよう
進化する技術・医療を学び続け、患者さんを支える臨床工学技士でありたい
群馬パース大学
保健科学部 臨床工学科(2022年4月より保健科学部から医療技術学部に名称変更)
患者さんに寄り添ったコミュニケーションを日々心掛けています!
帝京科学大学
生命環境学部 生命科学科 臨床工学コース
「頑張れるかな?」という不安が、「頑張るぞ!」に変わった。
昭和医療技術専門学校
臨床検査技師科