効率的な暗記法とその理由を徹底解説!忘れる原因を知って効率的に暗記をしたい!

とにかく暗記が苦手、覚えてもすぐに忘れてしまう、覚えたはずなのに思い出せない…。

勉強しているとぶち当たる「暗記」に関するお悩みを解消するべく、暗記の達人に効率的な暗記のコツを聞いたよ。

●お話を聞いた人

碓井孝介さん

公認会計士・税理士・司法書士
1984年北海道生まれ。
中学時代は学業が振るわなかったものの、高校で一念発起し、自ら編み出した効果的な学習法・暗記法で学力を急激に向上。
関西学院大学法学部に現役で合格を果たす。
さらに、大学在学中に司法書士試験に合格し、卒業後は1年4カ月の学習期間で難関の公認会計士試験にも合格。
現在は自身が経営する事務所にて会計税務実務・司法書士実務に携わる。著書に『図解でわかる 暗記のすごいコツ』(日本実業出版社)、『偏差値35から公認会計士に受かる記憶術』(講談社)などがある。

どうして暗記が得意な人と不得意な人がいるの?

高校生の38.5%が暗記が不得意!




まずは、全国の高校生104人に暗記について尋ねてみたよ。

その結果、「暗記が得意」と答えた人は44.2%、「暗記が不得意」と答えた人は38.5%だった。

教科や内容によるという人もいるけれど、得意と不得意に分かれるみたい。

では、暗記が得意な人と苦手な人では、何が違うんだろう?

暗記の達人に聞いてみたよ。

暗記が得意な人と不得意な人の違いは?

暗記が得意な人と不得意な人の違いは、「暗記のテクニックを知っているかどうか」に尽きます。

よっぽどの暗記が得意という人を除き、「一度見ただけで覚えてしまう」なんていう人はいません。

意識的にせよ無意識にせよ暗記のコツをつかんで効率良く覚えている人は、周囲から見ると「暗記が得意」と映ります。

一方、知識をそのまま丸暗記しようとしたり、短期間で膨大な量を覚えようとしたりしている人は、結局覚えきれず、覚えてもすぐに忘れてしまい、「暗記が苦手」となってしまうのです。

言い換えれば、暗記のテクニックさえつかめば、誰でも「暗記が得意」になれるということ。

本記事を参考に、暗記の達人を目指してください。(碓井さん)

効率の良い暗記の鉄則とは?

効率的な暗記法10選

「暗記には3つの鉄則がある」と碓井さん。

まずはこの鉄則を押さえ、自分のこれまでの覚え方が間違っていなかったかどうか、確認してみよう。

鉄則1:覚える情報を絞る

教科書をぜんぶ丸暗記すれば試験で高得点が取れる…という考えは、今すぐ捨ててください。

まずは、「覚えるべきこと」とそうでないことを徹底的に選別し、絞り込むことが重要です。

目の前にある情報や知識をすべて正確に覚えることはできませんし、覚える必要もありません。(碓井さん)

鉄則2:覚えやすいよう変換する

次に、選別した「覚えるべきこと」を「覚えやすい姿・形」に変換します。

セットで覚える、同じ点と異なる点を比較しながら覚える、連想する、身近な人に置き換えて覚える、ゴロ合わせにするなど、自分にとって覚えやすいよう整理します。

こうすることで、バラバラの知識として覚えるよりも格段に覚えやすくなります。(碓井さん)

鉄則3:繰り返しインプットする

暗記が苦手な人に最も多いのが、繰り返すのを面倒がるケース。

脳は何度も触れる情報を優先的に記憶するため、「覚えるべきこと」を何度もインプットすることは暗記に不可欠です。

覚えるべきことを選別し、覚えやすいよう変換したら、あとは触れる回数をとにかく増やすこと。

ただ文字情報として見る・読むだけでなく、声に出したり書いたりと、五感を使ってインプットするとより効果的です。(碓井さん)

コラム:エビングハウスの忘却曲線とは?


脳が覚えた情報をいかに忘れるかを示したのが、「エビングハウスの忘却曲線」だ。

このデータによると、覚えた情報のうち、1時間後には56%、24時間後には74%、1週間後には77%を忘れてしまうという。

つまり、覚えた1日後には、覚えたことのほとんどを忘れかけているということだ。

一方、前述のように、脳は何度も触れる情報を優先的に記憶するため、復習を重ねれば重ねるだけ記憶は強化され、忘却曲線の落ち込みが緩やかになる(忘れにくくなる)。

これらのことから、忘れる前に情報に触れ直すこと、つまり、定期的に復習をすることで、記憶を少しずつ強化することができることがわかる。




専門家に聞いた!効率良く暗記する方法10選

効率良く暗記する方法10選

「暗記の鉄則」を押さえたところで、3つの鉄則にそって効率良く暗記するための具体的な方法を教えてもらったよ。

まずは実際に試してみて、自分に合ったものを選び取っていこう。

①大枠をとらえ「主張・結論」を押さえる

覚える情報を絞り込むためのコツの1つめが、「文章の大枠をとらえ、主張・結論を押さえること」です。

教科書などの説明的な文章は長く、「で、結局何が言いたいの?」ということが往々にしてあります。

本文を読む前に、「見出し・太字・目次・重要事項等のまとめ」などに目を通して、「だいたいこんなことが言いたいんだな」という大枠をつかみましょう。

歴史などの場合は、「年表」を活用するのも効果的です。

その際には、「主張・結論」を意識するのがコツ。

本文に書かれた細かい情報は、大枠や主張・結論をつかんでから、追加・補足情報として押さえればOKです。(碓井さん)

②「主語・述語」に注目する

覚える情報を絞り込むためのコツの2つめが、「主語・述語に注目すること」です。

「誰・何が、どうした」という「主語・述語」を押さえることで、情報を圧縮することができます。

主語・述語は、いわば情報の骨組みです。

これに肉付けするサブ情報は(カッコ)でくくり、理解は後回しにしましょう。

文章をわかりやすくするための例示や対比、理由、背景などが「サブ情報」に当たります。

歴史などでは「いつ(年号など)」の情報も重要なケースが多いので、その場合は「誰・何が、いつ、どうした」を押さえるようにするとよいでしょう。(碓井さん)

③キーワードにターゲットを絞る

覚える情報を絞り込むためのコツの3つめが、「キーワードにターゲットを絞ること」です。

問題は、いかにしてキーワードをみつけ出すか、です。

教科書で太字などになっている場合はわかりやすいですが、そうでない場合は、「文において、違う単語に置き換えても意味が通る部分」に着目しましょう。

ここが試験などでめらわれやすいキーワードになり、具体的には、人名、年号、場所、できごとといった固有名詞になります。

例えば、「(年号)年に(場所)にて、(国名)と(国名)の間で(条約名)という条約が結ばれた」という文であれば、( )に入る年号や固有名詞がキーワードになります。(碓井さん)

④自分の言葉で言い換える

覚えやすいよう変換するためのコツの1つめが、「自分の言葉で言い換えること」です。

テキストに書かれた言葉はいわゆる行儀の良い言葉・表現であり、何だかピンとこない…ということがあります。

覚えにくい情報は、自分にとって理解しやすい言葉に言い換えてみましょう。

なるべく短い表現にまとめ直したり、印象に残るようインパクトをもたせたり、箇条書きにしたりすると、覚えやすくなります。

例えば、「EU加盟国のなかで最大の国土をもつ国はフランス、続いてスペイン、スウェーデンなどがある。一方で最小の国はマルタ、次にルクセンブルクなどがある」という文章があったとき、私なら「EU加盟国のなかで一番大きいのはフランス、一番小さいのはマルタ」とまとめます。

また、箇条書きにした文言の頭文字を覚えておく、ゴロ合わせにするなどしておくと、思い出しやすくなります。(碓井さん)

⑤カテゴライズする

覚えやすいよう変換するためのコツの2つめが、「カテゴライズすること」です。

覚えやすく変換する際には、バラバラの知識を有機的に結びつけて整理するのがコツ。

ある共通項や分類で括ってカテゴライズすると、セットで覚えやすくなります。

また、「この部分は同じだけど、ここは違う(似ているけど違う)」と相違点を比較したり、「基本はAだけど、Bだけは例外」などと基本と例外に着目したりするのも有効です。

英単語・熟語、古典単語などを覚える際には、特に向いている方法と言えるでしょう。(碓井さん)

⑥連想ゲーム形式で記憶のフックを強化する

覚えやすいよう変換するためのコツの3つめが、「連想ゲーム形式で記憶のフックを強化すること」です。

「AといえばB」「BといえばC」…と、ある言葉から連想する言葉をつないでいく連想ゲームのように、知識をつないでいきましょう。

いわゆる連想ゲームとの違いは、「自分さえ連想できればそれでいい(他人には理解されなくてもいい)」という点。

例えば、歴史上の人物を覚える際に、名字が同じ知り合いに置き換えて覚える、なんていうのもOKです。

連想ゲーム形式で知識同士を紐付けることにより、覚えやすくなるだけでなく、「記憶のフック」が強化され、「Aを思い出したら自動的にBを思い出す」というように記憶を引き出しやすくなります。(碓井さん)

⑦脳内で即座に反復する

繰り返しインプットするためのコツの1つめが、「脳内で即座に反復すること」です。

覚えたい情報や知識が出てきたら、その場で脳内で反芻(はんすう)しましょう。

何度か口で唱えられるとなおよいです。

また、次のページや次の事項に進む前に、今インプットしたことをさっと見直すのも有効です。

大事なのは、覚えたいことに触れる回数・頻度をとにかく増やすこと。

特に覚えたばかりの情報・知識については何度も反復し、脳に刷り込むことを意識しましょう。(碓井さん)

⑧1日後、1週間後、1カ月後に復習する

繰り返しインプットするためのコツの2つめが、「1日後、1週間後、1カ月後に復習すること」です。

エビングハウスの忘却曲線(コラム参照)が示すように、人は覚えてから24時間後までの間に急激に忘れてしまいます。

記憶量のピークを高い状態に維持するためには、適切なタイミングでの復習が大変有効です。

原則は、1日(24時間)後、1週間後、1カ月後に復習すること。

復習の回数を重ねるごとに忘れにくくなるため、少しずつ間隔を空けていきます。

覚えやすい得意科目・分野と覚えにくい(忘れやすい)苦手科目・分野で、復習の間隔にメリハリをつけてもよいでしょう。(碓井さん)

⑨復習時に周辺の情報まで見ておく

繰り返しインプットするためのコツの3つめが、「復習時に周辺の情報まで見ておくこと」です。

曖昧な知識を確かめるために、教科書や参考書などで確認することがありますよね。

そういうときには、ぜひ、該当する知識の周辺に書かれたことまで見ておきましょう。

繰り返しになりますが、記憶を強化するためにはとにかく目に触れる機会を増やせばよいので、チラッと見て「ああそうだった」と思うだけでも効果があるのです。

私がデジタル教材よりアナログ教材を推奨する理由はここにあります。

電子辞書、英単語アプリなどのデジタル教材では、検索した情報がピンポイントで確認できますが、その周辺情報に自然に目が行くことはありません。

もちろん便利であることは理解していますが、反復学習による記憶の強化という観点では、紙の教材のほうがおすすめです。(碓井さん)

⑩人にレクチャーをする

繰り返しインプットするためのコツの4つめが、「レクチャーをすること」です。

自分が理解した・覚えたことでも、わかりやすく解説・説明するのは意外と難しいもの。

誰かにレクチャーすることで再び情報がインプットされるだけでなく、改めて理解が深まったり、理解や記憶が曖昧な箇所が明らかになったりします。

友人など他者に向けてレクチャーすることはもちろん、自分自身にレクチャーするセルフレクチャーもとても効果的です。(碓井さん)

高校生のみんながやってるおすすめ暗記法は?

効率良く暗記する方法10選

高校生のみんなにも、実践している&効果があるおすすめの暗記法を聞いたよ。

碓井さんのアドバイスと合わせて、参考にしてみてね。

【科目問わず】

・ちょっとしたゴロ合わせを使る、覚えるまで何度も口に出して紙に書くようにする(21歳・東京都)

・歌にして覚える(22歳・福岡県)

・トイレに貼る(20歳・長野県)

・覚える言葉の成り立ちや意味を理解する(23歳・東京都)

・1日に数回思い出す時間を作る(19歳・大阪府)

・頭の中で言葉のイメージを作り、どんなに適当でもいいので何かに結びつける(19歳・埼玉県)

・自分がいつも見える場所に、覚えることと意味などを書いておく(22歳・兵庫県)

・繰り返し音読して、脳に染み込ませる(20歳・東京都)

・イメージする図やイラストをつけて画像で覚える(22歳・東京都)

・意味や語源を調べて、自分の趣味や好きなことに関連した例文を作る(19歳・福岡県)

・身近なものに置き換えて覚える(20歳・愛媛県)

・歩きながら覚える(22歳・兵庫県)

・寝る前と起きたときに確認する(19歳・大阪府)

・1回に長い時間をかけるより、何周も見て回数を重ねる(19歳・福岡県)
【英語】

・英単語は、1日20個×3日間ほど同じものを覚え、次に進みつつ、前に覚えた単語の復習を随時行う(19歳・埼玉県)

・英語は、単語だけでなく文章で覚える(19歳・静岡県)

・英単語は音声を聞きながら覚える(21歳・神奈川県)

・わからない単語のみの単語帳を作り、覚えた単語は消していく(18歳・青森県)
【社会】

・社会は、年表や地図にまとめながらイメージで覚える(23歳・北海道)

・歴史などはストーリーで覚える(21歳・香川県)

・歴史は因果関係を理解すると覚えやすい(22歳・福岡県)

やってはいけない!間違えた暗記法とは?

効率良く暗記する方法10選

NGなのは、「暗記の鉄則」に反した暗記法。

具体的にどのようなものか、教えてもらおう。

目的にかかわらず、全部覚えようとする

膨大な情報を短時間で覚えることは、普通の人には難しいことです。

ついあれもこれもと欲が出てしまいますが、特に最初は、最重要ポイント(教科書で言うと太字の部分)のみに絞りましょう。

そこが完璧に覚えられたら覚える範囲を少し広げてもOKですが、あくまでも欲張りすぎないこと。

また、どこまで細かい知識が必要かの判断は、小テストなのか定期テストなのか大学受験なのか、選択問題なのか記述問題なのかなど、勉強の目的やテストの形式にもよります。

時間は限られていますから、「暗記の目的(何のために覚えるのか)」を明確にし、それに合わせて覚える範囲を決めるという視点も意識してください。(碓井さん)

自分なりの工夫をせず、丸暗記をしようとする

知識を単体でそのまま覚える丸暗記は、かなり非効率的な覚え方です。

本記事でお伝えしてきた覚えやすく変換するコツを、まずは試してみてください。

大事なのは、それをうのみにして再現するのではなく、自分が覚えやすいようアレンジすること。

世間一般で良いと言われている暗記法が、あなたに合っているとは限りません。

また、英語、数学、社会など教科・科目によっても有効な方法が異なってくるはずです。

あれこれと試行錯誤し、自分なりの覚え方を体得してください。(碓井さん)

圧倒的に少ない学習量や勉強時間で満足してしまう

暗記をはじめ勉強全般に言えることですが、質と同時に量も大切です。

長時間机に向かって暗記をしろとは言いませんし、それは効率的な暗記法ではありませんが、やはり一定の学習量や勉強時間は必須です。

タイパ・コスパを重視するあまり短時間で済ませようとしている人がいるように見受けられますが、質を高めると同時に量を確保することも忘れずに。(碓井さん)

集中と反復なくして効率の良い暗記は成立しないのです。

時間がない!試験直前に効果絶大なワザはこれ!

やるべきことはやった…けど、最後の最後まで粘りたい!1点でも多く取りたい!

そんな高校生&受験生にピッタリの、試験直前に効果絶大な暗記のワザを聞いたよ。

「テキストパラパラめくり」で得点アップ!

試験開始直前には、これまで勉強で使ってきた教科書や参考書を総復習しましょう。

1ページ1ページていねいに確認するのではなく、パラパラと眺める程度でOK。

徹底的にやり込んだ教材であれば、「あのページの右上にあの情報があったな」「あそこに史料が載っていたな」と脳内にイメージが湧いてくるはず。

最後にザーッと情報に触れておくことで記憶が更新され、これまでに覚えたことを思い出しやすくなるのです。

直前期ほど、「新しいことを覚える」よりも「覚えたことを思い出す」に重きを置いた学習を心がけましょう。(碓井さん)

暗記の達人・碓井さんからのメッセージ


最後に、暗記の達人・碓井さんからみんなにメッセージをもらったよ。
「暗記の鉄則」は揺るぎませんが、個々の暗記法については、万人に効果的なものはありません。

大切なのは、自分で実際に試してみて、自分に合ったものをみつけること。

私自身も、そうやって暗記法を確立してきました。

例えば、手を動かして書くと覚えられるという人もいれば、教科書を音読すると覚えやすいという人もいるでしょう。

今回お伝えした暗記のテクニックを参考に、あなたにフィットした暗記法を確立してください。

暗記法をつかめば、あとはコツコツと積み上げるだけ。継続は力なりです。

もう、「暗記が苦手」とは言わせませんよ!(碓井さん)

監修/碓井孝介 ライター/笹原風花 構成/黒川安弥

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